なんでもノート

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コラム 部活動は変わるのか 汐見、伊東ほか『教育原理』ミネルヴァ書房2016

汐見、伊東ほか『教育原理』ミネルヴァ書房2016

 

「部活動は変わるのか」(pp.158-159)

 

  1. 部活動への期待

 

 部活動は学校文化に質量両側面において重要な役割を果たしている。「運動部活動のあり方に関する調査研究報告」(文部科学省, 1997)によると、中学校の運動部員の学期中の週当たりの活動日数は、72.4%が週6〜7日活動しており、平日の活動時間は役2〜3時間未満(54.8%)が最も多くなっている。これは累計年間420時間ほどになる。また、西島央(2006)の調査によると、部活動に打ち込んだ生徒の方が精神面での効用を得ていることがわかっている。「このように部活動は生活指導の有効な一チャンネルとして機能」(p.158)している。

 

  1. 部活動の歴史的移り変わり

 

 部活動の基本的な枠組みがつくられたのは1968・1969(昭和43・44)年の学習指導要領である。教育課程内に必修のクラブ活動が設置され、選択制の部活動が教育課程外に位置付けられた。これ以降、法律的な裏付けがないまま、学校側が計画し、顧問を配置し、その指導の責任を持つという暗黙の体制がとられ、盛んになった(参照, p.158)。1989年からクラブ活動が部活動へ代替可能となり、1998・1999年以降、部活動やスポーツクラブなどが盛んになったことを受け、中高におけるクラブ活動は廃止された。

 

  1. 新学習指導要領で部活動は変わるのか

 

 部活動が盛んになり広がりを見せる一方、教師の労働環境や部活内における組織体制、指導者の確保といったさまざま問題が噴出していた。1990年代半ば以降、部活動を学校側が担うか、地域が担うかといった議論が活発化したが明確な方向性は打ち出されなかった。208・2009年学習指導要領では、初めてクラブ活動の教育的効果を評価し、「部活動と教育課程との関連付けを求めてきた」(p.159)。

 今後どのような変化が予想されるのか⇨「部活動に関する教師の仕事上の位置付けが、ボランタリーから職務へと明確化されていく」、「部活動への公金の支出の充実という予算上の措置が期待できる」。(p.159)(2020年現時点でやっと議論がお茶の間にまで広がってきている感じ。特に給特法といった言葉が広く認知されてきている。)

 「しかし、部活動の教育課程化の方向のみでは、教職員の多忙化や指導者の専門性の問題は解消されない。部活動に科学的メスを入れることが重要である。」つまり、これまでなされてこなかった部活動の科学的な教育効果の測定が必要である。「そして、発達心理学コーチング、ウェルネス論などの科学と論理の視点を入れた指導のできる教員や指導者を養成することが重要となってくる。」これにより、長時間練習すれば良いといった迷信が否定され、「顧問や生徒の負担の改善が期待できる」。「科学的トレーニングの導入により、悪しき根性主義からも脱却できるはず」。(p.159)